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玉露(ぎょくろ)とは、新芽を摘み取る前の約20日間、茶畑に覆いをかけて日光をさえぎって育てる、日本茶の中でも最高級とされる緑茶です。日光をさえぎることでうま味のもとになるアミノ酸(テアニン)が茶葉に多く残り、渋みが少なく、だしのような濃いうま味と、青のりに似た「覆い香(おおいか)」が生まれます。おいしく淹れるコツは、50〜60℃のぬるめのお湯で2分〜2分30秒じっくり待つことです。
「玉露は高級で、なんだか難しそう」と感じている方も多いのではないでしょうか。この記事では、1960年創業の日本茶専門店・宇治製茶が、玉露とはどんなお茶なのか、煎茶・かぶせ茶・抹茶との違い、家庭でできるおいしい淹れ方、選び方とおすすめの玉露まで、はじめての方にもわかりやすくご紹介します。
目次
玉露とは?どんなお茶?
玉露は、煎茶と同じ「緑茶」の仲間です。同じ茶の木から摘んだ葉でも、育て方が違うことで、まったく別の味わいのお茶になります。
日光をさえぎって育てる「被覆栽培(ひふくさいばい)」
玉露は、新芽を摘み取る前の約20日間、茶畑によしずやわら、黒い布(寒冷紗=かんれいしゃ)などで覆いをかけ、日光をさえぎって育てます。これを「被覆栽培」といいます。伝統的な産地では、茶畑の上に棚を組んで覆う昔ながらのやり方も今も守られています。
日光をさえぎると、うま味が増える理由
お茶のうま味と甘みのもとは、テアニンというアミノ酸です。テアニンは日光を浴びると、渋みのもとであるカテキンへと変わっていきます。玉露は日光をさえぎって育てるため、テアニンが渋みに変わらずに茶葉に多く残ります。その結果、渋みが少なく、とろりとした濃いうま味と甘みを持つお茶になるのです。
玉露ならではの香り「覆い香(おおいか)」
玉露を口にふくむと、青のりや海苔に似た独特の香りがふわっと広がります。これは覆いをかけて育てたお茶だけが持つ香りで、「覆い香」と呼ばれます。上質な玉露ほど、この香りが豊かだといわれています。茶葉も日光を補おうと葉緑素を多くたくわえるため、煎茶より深く濃い緑色をしています。
玉露が高級といわれる理由
- 手間がかかる:茶畑に覆いをかけ、毎日の天気を見ながら管理する作業には、多くの人手と経験が必要です。
- たくさん作れない:日光をさえぎると茶葉の育ちがゆっくりになるため、とれる量がかぎられます。玉露は日本茶全体のなかでも、ほんのわずかしか作られていない貴重なお茶です。
- 産地がかぎられる:おいしい玉露が育つ気候と技術がそろった、京都・宇治、福岡・八女、静岡・岡部などの産地が中心です。
玉露と煎茶・かぶせ茶・抹茶の違い
いちばん大きな違いは「覆いをかける期間」です。覆いが長いほどうま味が強く、短い(または覆いをしない)ほどさわやかな渋みが出ます。
| 玉露 | かぶせ茶 | 煎茶 | 抹茶 | |
|---|---|---|---|---|
| 覆いの期間 | 約20日 | 約1週間前後 | なし | 約20日以上 |
| 味 | 濃いうま味と甘み。渋みは少ない | 玉露と煎茶の中間。うま味とさわやかさ | さわやかな渋みとうま味のバランス | 濃いうま味とほろ苦さ |
| 香り | 覆い香(青のりのような香り) | ほのかな覆い香 | 若葉のような青い香り | 覆い香 |
| お茶の形 | 細長くよった茶葉 | 細長くよった茶葉 | 細長くよった茶葉 | 石臼でひいた粉 |
| お湯の温度 | 50〜60℃ | 煎茶よりやや低め | 80〜90℃ | 70〜85℃ |
玉露とかぶせ茶は、どちらも覆いをかけて育てますが、かぶせ茶は覆いの期間が短めです。そのため、玉露のうま味と煎茶のさわやかさをあわせ持った味になります。
玉露と抹茶は、どちらも覆いをかけて育てる点は同じです。ただし抹茶は、蒸した茶葉をもまずに乾かした「碾茶(てんちゃ)」を石臼でひいて粉にしたもの。玉露は茶葉をもんで形をととのえ、お湯で成分を引き出して飲みます。
玉露の成分(テアニン・カフェイン)
うま味のもと「テアニン」が多い
先ほどご紹介したとおり、玉露は日光をさえぎって育てるため、うま味と甘みのもとになるテアニンを多くふくみます。玉露のとろりとした口あたりや、だしのような味わいは、このテアニンによるものです。
カフェインは煎茶より多め
意外に思われるかもしれませんが、玉露は煎茶よりもカフェインが多いお茶です。ただし、ぬるめのお湯で淹れるとカフェインは出にくくなり、一度に飲む量も少ないのが玉露の楽しみ方です。カフェインが気になる方は、さらに出にくい「水出し」がおすすめです(水出しの作り方はこちら)。
※小さなお子さまや、妊娠中・授乳中の方、カフェインに弱い方は、飲む量や時間帯にご注意ください。
玉露のおいしい淹れ方
玉露は、淹れ方で味が大きく変わるお茶です。とはいえ、ポイントは「ぬるめのお湯」「少なめのお湯」「最後の一滴まで注ぎ切る」の3つだけ。順番に見ていきましょう。
用意するもの
- 小さめの急須
- 小ぶりの湯呑み(お酒のぐい呑みくらいの大きさ。内側が白いものだとお茶の色がきれいに見えます)
- 湯冷まし(なければ湯呑みやマグカップで代用できます)
分量の目安(1人分)
| 茶葉 | 約5g(ティースプーン山盛り1杯) |
| お湯の量 | 約30ml(ぐい呑み1杯ほど) |
| お湯の温度 | 50〜60℃ |
| 待ち時間 | 2分〜2分30秒 |
淹れ方の手順
沸かしたお湯を、湯呑みに注いでから湯冷ましに移します。器に移しかえるたびにお湯の温度が下がり、同時に器も温まります。手で持って「少しぬるい」と感じるくらいが目安です。
急須に茶葉を入れます。玉露は、お湯に対して茶葉をたっぷり使うのがおいしさのコツです。
50〜60℃に冷ましたお湯を、茶葉全体がひたるように静かに注ぎ、ふたをして2分〜2分30秒待ちます。
湯呑みに少しずつ注ぎ、最後の一滴までしっかり出し切ります。最後の数滴にうま味がつまっているうえ、急須にお湯が残ると二煎目が渋くなってしまいます。複数の湯呑みに注ぐときは、濃さが同じになるよう少しずつ順番に注ぎ分けましょう。
3人分で淹れる場合や、ほかのお茶の淹れ方は「おいしいお茶の淹れ方」でご紹介しています。
二煎目・三煎目の楽しみ方
玉露は二煎目、三煎目もおいしくいただけます。二煎目は一煎目より少しお湯の温度を上げ、待ち時間は短めに。一煎目の濃いうま味とはちがう、まろやかな味わいになります。三煎目はさらに温度を上げると、煎茶のようなすっきりとした渋みも楽しめます。なお、二煎目以降に茶葉を足すのは、味がにごるので避けましょう。
うまく淹れられないときは
- 苦い・渋い → お湯が熱すぎる可能性があります。もう少し冷ましてから注いでみてください。
- 味が薄い → 茶葉が少ないか、待ち時間が短い可能性があります。茶葉を増やすか、少し長めに待ってみてください。
- 二煎目が渋い → 一煎目で急須にお湯が残っていたかもしれません。最後の一滴まで注ぎ切りましょう。
しずく茶という楽しみ方
玉露の産地・福岡県八女市の星野村には、ふた付きの茶碗に茶葉を入れてぬるいお湯をそそぎ、ふたのすき間からしずくをすするように味わう「しずく茶」という飲み方があります。玉露のうま味をいちばん濃く味わえる方法です。くわしくは「しずく茶の魅力と効果」をご覧ください。
水出し玉露の作り方
暑い季節や、カフェインをおさえたいときは水出しがおすすめです。水でゆっくり成分を引き出すと、渋みやカフェインが出にくく、玉露の甘みとうま味をすっきり楽しめます。
ポットやボトルに茶葉と水を入れて冷蔵庫に置いておくだけ。ティーバッグタイプの「フリフリ水出し玉露」なら、ボトルに水500mlとティーバッグ1袋を入れて振るだけで作れ、1日入れたままでも渋くなりにくいのが特長です。
玉露の産地と歴史
玉露の三大産地
- 京都府・宇治:玉露が生まれた土地。抹茶とともに、高級茶の産地として知られています。
- 福岡県・八女(星野村・黒木町など):玉露の生産がさかんな産地。味が濃く、甘みが強いのが特長です。山あいで霧が多く、昼と夜の寒暖の差がうま味と甘みを育てます。昔ながらの棚がけで育てる「八女伝統本玉露」も知られています。
- 静岡県・岡部(朝比奈):静岡を代表する玉露の産地です。
そのほかの産地については「緑茶の主な生産地」でご紹介しています。
玉露のはじまり
玉露は、江戸時代の後期に京都・宇治で生まれたといわれています。もともと宇治には、抹茶の原料である碾茶を、覆いをかけて育てる技術がありました。この技術を生かして生まれたのが玉露です。名前の由来には諸説ありますが、江戸の茶商・山本山が売り出したお茶の名前から広まったという説がよく知られています。
玉露の選び方とおすすめ
目的に合わせた選び方
- まず気軽に試したい → ティーバッグや水出し用の玉露。道具がなくても手軽に楽しめます。
- 急須で本格的に味わいたい → リーフ(茶葉)の玉露。産地や銘柄による味のちがいも楽しめます。
- 贈り物にしたい → 産地がはっきりした玉露や、品評会で賞をとった玉露がおすすめです。
宇治製茶のおすすめ玉露
はじめての方・水出しに
福岡県八女地方の玉露を、水出し用のティーバッグにしました。ボトルに水と1袋を入れて振るだけで、500mlの水出し玉露ができあがります。1日入れたままでも渋くなりにくく、玉露の甘みとコクを手軽に楽しめます。
甘みとコクを味わいたい方に
玉露の名産地・福岡県八女市星野村の玉露です。標高300メートルほどの、霧に包まれることも多い山あいで育ち、甘みとコクがしっかり感じられます。香りが高く、茶葉のよりもしっかりしているので、二煎目・三煎目までおいしくいただけます。
玉露発祥の地・宇治の玉露を味わいたい方には、京都・宇治の老舗「丸久小山園」の玉露もおすすめです。宇治製茶は丸久小山園の正規取扱店として、毎日飲みやすい玉露から全国茶品評会の受賞玉露まで取りそろえています。
玉露の商品一覧を見る >
玉露の保存方法
玉露は、湿気・光・高温・においに弱いお茶です。おいしさを長く保つために、次の点に気をつけましょう。
- 開封後は、ふたがしっかり閉まる茶筒や密閉容器に入れ、日の当たらない涼しい場所に置く
- においの強いもののそばに置かない(お茶はにおいを吸いやすいため)
- 未開封のまま冷蔵庫・冷凍庫で保存した場合は、常温にもどしてから開ける(冷えたまま開けると、茶葉に水滴がついて傷みやすくなります)
- 開封したら、なるべく早めに飲み切る
玉露のよくある質問
Q. 玉露とは、かんたんに言うとどんなお茶ですか?
A. 新芽を摘み取る前の約20日間、茶畑に覆いをかけて日光をさえぎって育てた高級な緑茶です。渋みが少なく、だしのような濃いうま味と甘み、青のりに似た「覆い香」が特長です。
Q. 玉露と煎茶の違いは何ですか?
A. いちばんの違いは育て方です。煎茶は日光をたっぷり浴びて育つため、さわやかな渋みがあります。玉露は日光をさえぎって育てるため、渋みが少なく、うま味と甘みが強くなります。淹れるお湯の温度も、煎茶は80〜90℃、玉露は50〜60℃と大きく違います。
Q. 玉露とかぶせ茶の違いは何ですか?
A. どちらも覆いをかけて育てますが、覆いの期間が違います。玉露は約20日、かぶせ茶は約1週間前後が目安です。かぶせ茶は、玉露のうま味と煎茶のさわやかさの中間のような味わいです。
Q. 玉露は何度のお湯で淹れればいいですか?
A. 50〜60℃が目安です。1人分なら茶葉約5gに約30mlのお湯を注ぎ、2分〜2分30秒待ってから、最後の一滴まで注ぎ切ってください。熱いお湯で淹れると、渋みや苦みが強く出てしまいます。
Q. 玉露にカフェインは多いですか?
A. はい、玉露は煎茶よりカフェインが多いお茶です。ぬるめのお湯で淹れるとカフェインは出にくくなります。気になる方は水出しにすると、さらにカフェインをおさえられます。
Q. 玉露は水出しできますか?
A. できます。水出しにすると渋みやカフェインが出にくく、甘みとうま味をすっきり味わえます。ポットに茶葉と水を入れて冷蔵庫に置いておくだけでかんたんに作れます。
Q. 玉露は何煎まで飲めますか?
A. 三煎ほどおいしくいただけます。二煎目は少しお湯の温度を上げて待ち時間を短めに、三煎目はさらに温度を上げると、煎茶のようなすっきりした味わいになります。
Q. 玉露の茶殻(ちゃがら)は食べられますか?
A. 食べられます。やわらかい玉露の茶殻は、ポン酢や酢じょうゆを少しかけると、おひたしのようにおいしくいただけます。
まとめ
玉露は、日光をさえぎって育てることで生まれる、濃いうま味と甘み、そして「覆い香」が魅力の特別な緑茶です。おいしく淹れるコツは、50〜60℃のぬるめのお湯で、2分〜2分30秒じっくり待ち、最後の一滴まで注ぎ切ること。手順さえ守れば、ご家庭でもお店のような一杯が楽しめます。
ゆっくりと時間をとって、ていねいに淹れた玉露を味わう。そんな少しぜいたくなひとときを、ぜひ楽しんでみてください。
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